ペロブスカイト太陽電池は、日本発祥の次世代太陽電池として知られています。
しかし2026年現在、量産化の主導権は中国メーカーへと移りつつあります。
中国シリコン大手の協鑫集団(GCL)傘下の協鑫光電(GCLペロブスカイト)は、すでにGW級の量産拠点を稼働させており、日本市場への展開も注目されている状況です。
工務店の営業担当者にとって、この動きは「日本企業の製品が遅れているのか」「中国製は安いけれど大丈夫なのか」という施主からの質問に直結するテーマといえるでしょう。
本記事では、GCLの動向と中国勢の量産体制、日本企業との比較までを整理して解説します。
目次
ペロブスカイト太陽電池とは

ペロブスカイト太陽電池は、結晶構造の名前を冠した次世代の太陽電池です。
従来のシリコン型と比べて、軽量・柔軟性・製造工程のシンプルさが大きな特徴となっています。
2009年に日本の桐蔭横浜大学・宮坂力特任教授が世界で初めて発見した技術であり、日本発の有望技術として注目されてきました。
軽量で曲げられる特性により、これまで太陽光パネルを設置できなかった場所への導入が期待されています。
具体的な活用先は以下のような場所です。
- 耐荷重の小さい工場の屋根
- ビルの壁面
- 曲面のある建物の外装
- 既存建物のリフォーム時の追加設置
新築住宅だけでなく既存建物のリフォーム提案にも応用できるため、工務店にとって提案の幅を広げる技術となります。
中国GCL(協鑫光電)がタンデム型ペロブスカイトを日本投入

中国の協鑫光電(GCLペロブスカイト)は、タンデム型ペロブスカイト太陽電池の量産化で世界をリードしています。
2025年6月には江蘇省昆山市でGW級のペロブスカイト量産拠点を稼働させており、日本市場への展開も業界紙で報じられている状況です。
ここでは、GCLの企業概要から製品仕様、生産体制までを順に整理していきます。
GCLペロブスカイトとは
GCLペロブスカイト(協鑫光電)は、中国シリコンメーカー大手・協鑫集団(GCL)の傘下企業です。
親会社のGCLは、シリコン型太陽電池の世界的大手として知られる存在になります。
シリコン型で培った量産技術とコスト管理のノウハウを、ペロブスカイト分野に応用しているのが大きな強みです。
ペロブスカイト専業のスタートアップとは異なり、既存の太陽電池事業から派生した企業である点も特徴的です。
大規模な資金力と量産インフラを背景に、短期間で生産体制を整えたといわれています。
タンデム型PSCの日本投入が報じられている
GCLペロブスカイトは、タンデム型ペロブスカイト太陽電池の日本市場投入が業界紙で報じられています。
タンデム型とは、シリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池を積層した構造のことです。
2種類の発電層を重ねることで、それぞれが異なる波長の光を吸収し、高い変換効率を実現する仕組みになります。
主な用途として想定されているのは、メガソーラー向けの大規模発電施設です。
日本市場では実証実験も検討されているほか、建材一体型太陽光発電(BIPV)向けにガラス型ペロブスカイトの販売も伝えられています。
製品仕様|2.88㎡モジュール・変換効率27%
GCLが投入する製品の仕様は、すでにシリコン型と肩を並べる水準に達しています。
GCL公式情報によると、1.2m×2.4m・2.88㎡のタンデム型ペロブスカイトモジュールについて、変換効率27%を掲げているとされる仕様です。
NEDO資料では、GCLのモジュールで28%台の変換効率も確認されています。
ペロブスカイトは寿命の短さが課題とされてきましたが、GCLは商用案件で25年性能保証を伴うタンデム型モジュールの供給を進めており、耐久性面での実用化が進みつつある状況です。
施主への提案時に懸念となりやすい耐久性の面でも、競争力ある水準を打ち出しているといえるでしょう。
出典:Kunshan GCL Optoelectronic Materials Co. , Ltd.
価格・保証は報道ベースの情報も含まれる
価格面では、一部報道でGCLのタンデム型ペロブスカイトモジュールについて1Wあたり2.5元(約58円)程度の価格が示されています。
ただし、販売価格は契約規模や供給条件によって変わるため、現時点では参考値として扱うのが適切でしょう。
量産効果が働けば、価格競争力でもシリコン型と並ぶ可能性は十分にあります。
保証条件についても、25年の性能保証は商用案件で確認されているものの、製品保証年数などの詳細は販売時の公式仕様を確認する必要があります。
施主への提案時には、最新の公式情報をもとに比較検討することが重要なポイントです。
江蘇省昆山市のGW級量産拠点が稼働
GCLは2025年6月、中国の江蘇省昆山市にGW級のペロブスカイト量産拠点を稼働させました。
GCL公式の発表によると、投資総額は50億元、目標生産能力は2GW、初期配置として1GWの商用モジュール生産ラインが整備されています。
日本向けの具体的な供給量については、今後の正式発表を確認する必要があるものの、グローバル展開の足がかりとして日本市場が位置付けられているとされる状況です。
ペロブスカイト分野で、GW級の量産拠点が実際に稼働しているのは世界でも限られています。
中国市場で実績を積み上げつつ、品質要求の高い日本市場で評価を獲得することが、グローバル戦略の鍵になりそうです。
中国でペロブスカイト量産化を進める主要企業

中国でペロブスカイトの量産化を進めているのは、GCLだけではありません。
中国全体で100社以上の企業がペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでおり、複数社がGW級の生産ラインを稼働させています。
ここでは中国勢の全体像と、量産化を支える背景を整理しましょう。
協鑫光電(GCLペロブスカイト)の量産体制
GCLペロブスカイトは、世界初のGW級ペロブスカイト量産拠点を稼働させた企業として注目を集めています。
大面積(1m×2m)のモジュールで高い変換効率を維持しており、シリコンパネルに匹敵する量産品として市場投入できる体制が整いました。
親会社のシリコン事業と連携し、原料調達から製造、販売までを一貫して進められる点が大きな強みです。
日本市場への供給量は限定的とみられるものの、グローバル展開の戦略拠点として日本が位置付けられている状況といえます。
極電光能(ウトモライト)と繊納光電(マイクロクアンタ)
GCLに次ぐ主要プレーヤーとして、極電光能(ウトモライト)と繊納光電(マイクロクアンタ)が挙げられます。
極電光能は中国・江蘇省無錫市で約600億円を投じてGW級の生産基地を建設し、2024年中に年産1GWの工場を稼働させました。
すでに日本市場でも、商社のモリベニを通じてガラス型ペロブスカイトの試験販売が始まっています。
繊納光電(マイクロクアンタ)は、浙江大学・浙江理工大学と連携してペロブスカイト薄膜の大面積結晶の均一化技術を確立しました。
GCL・ウトモライト・マイクロクアンタの3社が、中国における量産化の先頭グループを形成しているといえるでしょう。
中国の研究開発体制|1万人規模の研究者投入
中国がペロブスカイト分野で急速に存在感を高めている背景には、圧倒的な研究開発投資があります。
中国全体で100社以上の企業がペロブスカイトを開発しており、関連する研究者は1万人規模に達するとされる体制です。
日本の研究体制とは、人員規模で大きな差が生まれている状況といえます。
研究者数の多さは、論文発表や特許出願の量にも直結する要素です。
新しい材料や製造手法の発見スピードも、中国が先行しやすい環境が整っています。
中国勢が先行した背景にある国の支援策
中国がペロブスカイトで先行できているのは、企業努力だけが理由ではありません。
量産化を後押しする支援策として、以下のような取り組みが挙げられます。
- 地方政府による製造拠点用の土地の無償提供
- 政府系ファンドによる積極的な投資
- スタートアップへの大規模融資支援
- 技術完成度よりも量産設備の先行確保を重視する政策方針
2026年3月には、中国の製造装置大手・邁為科技がペロブスカイト向け装置工場に35億元(約800億円)を投じると発表しました。
量産設備の先行確保を優先する戦略が、中国全体で展開されている状況です。
日本発のペロブスカイト太陽電池が中国で量産される課題

日本発の技術でありながら、量産化では中国が先行している現状は、日本にとって大きな課題です。
ただし、日本企業も巻き返しに向けて着実に動いており、技術と素材の面では強みを持っています。
量産化スピードで先行する中国、技術と素材で勝負する日本
中国が量産化で先行する一方、日本企業は素材技術や品質面で勝負する戦略を取っています。
主要メーカーの動向を整理すると、以下の通りです。
| 企業 | 量産開始時期 | 生産規模目標 | 製品タイプ |
|---|---|---|---|
| GCLペロブスカイト(中国) | 2025年6月稼働 | 2GW(目標) | タンデム型 |
| 極電光能ウトモライト(中国) | 2024年中稼働 | 1GW | ガラス型 |
| 積水化学工業(日本) | 2027年に100MW稼働を目指す | 2030年GW級 | フィルム型 |
| カネカ(日本) | 2028年度販売開始計画 | 実証段階 | タンデム型 |
中国勢が「先に大量生産する」戦略を取るのに対し、日本勢は「軽量・フィルム型」「高品質」という差別化で勝負します。
両者の戦略の違いを理解しておくことが、施主への製品提案にも役立つでしょう。
耐久性・寿命の信頼性は実用レベルに到達したか
ペロブスカイトの最大の課題とされてきたのが、耐久性と寿命の短さです。
水分や熱に弱く、シリコン型が25年以上使えるのに対し、初期のペロブスカイトは数年程度しか持たないとされてきました。
GCLが商用案件で25年性能保証を伴う供給を開始したことは、この課題に一定の解答を出した動きといえます。
ただし、実際の屋外環境での長期耐久性は、これからの実証で確認されていく段階にあります。
日本市場では実証実験を経て信頼性を確認することが、本格導入の前提となるでしょう。
サプライチェーン(金属シリコン・原料)の課題
ペロブスカイトの原料には、ヨウ素や鉛などの素材が必要です。
このうちヨウ素については、日本が世界生産の約3割を占める主要供給国で、チリに次ぐ世界第2位の生産量を誇ります。
原料調達の面では、日本にも一定の優位性がある分野といえます。
一方で、製造装置やシリコン基板など、量産インフラに関わる部分では中国が大きく先行している状況です。
日本企業が量産規模を拡大するうえで、装置調達やコスト面の競争が今後の焦点になりそうです。
出典:日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)~今までの太陽電池とどう違う?
韓国・欧州勢の参入による多極化
ペロブスカイトの量産競争は、日中の二強だけにとどまりません。
韓国や欧州のメーカーも研究開発を加速しており、世界的に多極化が進んでいます。
特定の国・地域に依存しない調達網を意識することが、今後の業界全体のテーマになるでしょう。
工務店としては、特定メーカーに偏らず、複数の選択肢を比較できる体制を持っておくことが重要です。
製品の選定基準を明確にしておけば、施主への提案にも一貫性が生まれます。
工務店がペロブスカイト太陽電池について今押さえておくべきポイント

ペロブスカイトの量産化が進むなかで、工務店の営業担当者が今のうちに押さえておくべきポイントは3つあります。
それぞれを順に解説していきます。
中国製・日本製の両方が選択肢になる前提を持つ
市場にはGCLをはじめとする中国製と、積水化学・カネカなどの日本製の両方が登場します。
施主から「中国製の太陽光はどうか」と質問される場面が増えると予想されるため、価格・耐久性・保証内容を比較できる基本知識が欠かせません。
報道ベースの情報と公式仕様を切り分けて、施主に提示することが信頼につながるでしょう。
ペロブスカイトの強みが活きる用途を理解する
ペロブスカイトの強みである軽量性と柔軟性が活きる用途を、整理しておきましょう。
具体的には、耐荷重の小さい屋根、曲面のある建物、ビル壁面など、従来のシリコン型では対応できなかった場所への提案が広がります。
シリコン型との使い分けを意識した提案ができれば、競合との差別化にもなります。
信頼できる情報源を継続的に確認する
価格や仕様は今後も大きく変動する可能性が高いため、信頼できる情報源を確保しておくことが重要です。
メーカーの公式発表、NEDOやエネルギー庁などの公的資料、業界専門メディアを継続的にチェックする習慣を持ちましょう。
情報の鮮度が、提案の精度を高める鍵となります。
まとめ
中国のGCLによるGW級のペロブスカイト量産拠点稼働を契機に、ペロブスカイトの実用化フェーズが本格的に始まりました。
変換効率27%のモジュール量産と25年性能保証を伴う商用案件の進行は、シリコン型と肩を並べる水準への到達を示しています。
日本企業も積水化学が2027年に100MW製造ライン稼働を目指し、カネカが2028年度の販売開始を計画するなど、今後数年で市場が大きく動く見通しです。
工務店の営業担当者にとって重要なのは、中国製と日本製それぞれの特徴を理解し、施主の用途に合わせて最適な選択肢を提示できる準備を整えることです。
価格・耐久性・保証内容・設置場所への適性など、比較すべき項目は多岐にわたります。
他社システムとの違いを把握しておけば、変化の早い太陽光業界でも自信を持って提案できるでしょう。
建築現場博士がおすすめする太陽光発電システムは『ダブルZERO』です。
太陽光発電システムの設置と災害対策を初期費用0円でおこなえます。
ダブルZEROを提供しているSolaCoe株式会社は、新築住宅向けに4,000件の太陽光発電システムを設置した実績とノウハウを持っています。
太陽光発電システムの申請代行もおこなっており、太陽光発電システムの経験がない工務店様でも心配はありません。
またオンライン・オフライン形式での勉強会開催や提案ツールの提供をおこなっており、太陽光発電が未経験であっても安心して施主様に提案が可能です。


















