「太陽光発電に興味はあるけど、初期費用が高くて手が出ない」
そんな施主の声をよく耳にしませんか?
実は今、初期費用0円で太陽光パネルを設置できる「無償設置」の選択肢が急速に広がっています。
自治体が主導する事業から民間企業のサービスまで、様々な形態が登場し、注目度はさらに高まっています。
この記事では、太陽光パネルの無償設置の仕組みから、自治体ごとの取り組み、民間サービスとの違いまで、施主への提案に役立つ情報を詳しく解説します。
目次
太陽光パネルの無償設置とは?なぜ無料で設置できるのか

太陽光パネルといえば高額というイメージがありますが、最近は「無償設置」が可能という話題が出回っています。
メディアでも紹介されているため、施主から「タダでつけられるんでしょ?」と聞かれる場合もあるでしょう。
太陽光パネルの無償設置とは、住宅所有者が初期費用を負担せずに太陽光発電システムを導入できる仕組みです。
従来は100万円以上の初期投資が必要でしたが、この仕組みを活用すれば経済的なハードルを大幅に下げることができます。
自治体主導の無償設置事業の仕組み
近年、脱炭素社会の実現に向けて、多くの自治体が住民向けの無償設置事業を展開しています。
自治体主導の事業では、行政が民間事業者と連携し、住民に初期費用0円で太陽光パネルを設置するサービスを提供します。
具体的には、自治体が事業者への補助金交付や信頼できる事業者の選定・登録を行うことで、住民が安心してサービスを利用できる環境を整備しています。
たとえば、自治体が出資して地域新電力会社を設立し、その会社が太陽光パネルを設置して住民に電力を販売するモデルがあります。
このモデルでは、住民は設備費用を負担せず、発電した電力を通常より安い単価で購入できるため、電気代の削減につながります。
自治体が主導することで民間への説得力が増し、同時に脱炭素へ向けての取り組みを推進できる三方よしの制度となっています。
民間の0円ソーラー(PPA・リース・屋根貸し)の仕組み
民間でおこなわれている0円ソーラーには、一般的に3つの仕組みがあります。
- PPA(電力購入契約)
- リース
- 屋根貸し
いずれも初期費用0円で設置できる点は共通していますが、契約期間中の電気の使い方や売電収入の帰属先、契約終了後の設備の扱いが異なります。
そのため、施主のライフスタイルや電力使用量に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。
【最新事例】江戸川区の無償設置事業「江戸川電力」とは

自治体主導の無償設置事業の先進事例として、東京都江戸川区が2025年12月に設立した「江戸川電力株式会社」を紹介します。
この事業は、自治体がどのように住民の太陽光発電導入を支援できるかを示す好例であり、今後全国の自治体で同様の取り組みが広がる可能性があります。
事業の概要と目標
江戸川電力株式会社は、2025年12月15日に設立された官民連携の地域新電力会社です。
江戸川区と株式会社EDF、その他3社による共同出資で設立されました。江戸川区は23区で初めての地産地消エネルギーの創出に取り組んでいます。
無償設置の仕組みとしては地域エネルギー会社が区内の既存住宅に太陽光発電システムを無料で設置し、電力を販売するPPAモデルの事業です。
この事業の背景には、江戸川区が2023年2月に宣言した「カーボンマイナス都市」構想があります。
区は2050年までにCO2排出量を実質マイナスにするという目標を掲げており、その実現に向けた重要な施策として江戸川電力が位置づけられています。
江戸川区の約7割はゼロメートル地帯(海抜0m以下)であり、気候変動による海面上昇や台風被害のリスクが高い地域です。
こうした地理的特性から区は脱炭素化を単なる環境政策ではなく、地域の存続に関わる重要課題として捉えています。
事業目標として、2030年度までに855世帯への太陽光パネル設置を目指しており、2031年度には売上高7,000万円の達成を計画しており、2025年度中にモデル事業として試験運用を開始し、2026年夏頃から一般募集(初年度50件程度)を予定しています。
(出典:地域脱炭素の実現に向けた江戸川区の考え方 ~地域エネルギー会社との連携方法について)|江戸川電力株式会社が設立されました)
住民にとってのメリット
江戸川電力が住宅の屋根に太陽光パネルを無償で設置し、設置された太陽光パネルの所有権は江戸川電力にあり、メンテナンスも同社が担当します。
住民は発電した電力を江戸川電力から購入する形となりますが、その単価は通常の電力会社より割安に設定されています。
江戸川区の住民が得られる主なメリットは、初期費用をかけずに太陽光発電設備を設置できることです。
通常太陽光発電設備の導入には100万円以上の費用がかかりますが、それらはすべて事業者側が支払います。
さらに導入後のメンテナンス費用や手間も事業者側が負担するため、契約期間中は設備管理をする必要がありません。
そして、最大のメリットが、電気代の削減です。
太陽光設備で発電した電力には、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)がかかりません。
そのため、その分安く電気を使えるようになるという経済的なメリットがあります。
江戸川区の資料によると、電気料金の試算例として年間約214,000円から約155,000円へと、約59,000円の削減効果が見込まれています。
CO2削減効果と地域への貢献
江戸川区には約12万戸の既存住宅がありますが、2050年までに建て替えが見込まれるのはそのうち約5万戸に過ぎません。
つまり、新築時の太陽光設置義務化だけでは、既存住宅の大部分をカバーできないという課題があります。
江戸川電力は、この既存住宅への太陽光導入を促進する役割を担っています。
初期費用というハードルを取り除くことで、これまで導入を躊躇していた住民の背中を押し、地域全体での再生可能エネルギー普及を加速させることが期待されています。
また、地域新電力という形態をとることで、電気料金の支払いが地域内で循環し、地域経済の活性化にも貢献するでしょう。
売電収入や事業利益は地域に還元され、さらなる環境施策の財源となる好循環が生まれます。
0円ソーラーの種類|PPA・リース・屋根貸しの違い

初期費用0円で太陽光発電を導入できる「0円ソーラー」には、主にPPA(電力販売契約)、リース、屋根貸しの3つの形態があります。
それぞれ仕組みが異なるため、施主のライフスタイルや電力使用状況に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。
PPA(電力購入契約)モデルとは
PPAはPower Purchase Agreement(電力販売契約)の略で、事業者が住宅の屋根に太陽光パネルを無償で設置し、発電した電力を住民が購入する仕組みです。
PPAでは、太陽光パネルの所有権は事業者にあり、住民は発電した電力を使用した分だけ電気代として支払います。
この電気代は通常の電力会社から購入するより安く設定されていることが一般的で、電気代の削減につながります。
契約期間は10年から20年程度が一般的で、契約期間満了後は太陽光発電システムが住民に無償譲渡されるケースが多いです。
PPAモデルにはメリットもありますが、当然デメリットもあるため、双方を比較検討しなければなりません。
PPAについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
リースモデルとは
リース契約は、月々固定のリース料金を支払うことで太陽光発電システムを借りて使用する仕組みです。
PPAとの最大の違いは、発電した電力の扱いです。リース契約では、発電した電力は全て契約者のものとなります。自家消費はもちろん、余った電力を電力会社に売電することも可能で、その売電収入も契約者が受け取れます。
月々のリース料金の目安は1万円から2万円程度ですが、太陽光パネルの容量や契約内容によって異なります。リース料金は固定のため、発電量に関わらず毎月一定額の支払いが発生します。
契約期間は10年程度が一般的で、契約満了後は設備が無償譲渡されます。
電気使用量が多く、日中も在宅時間が長い家庭では、売電収入も得られるリースが経済的なメリットを得やすいでしょう。
リースモデルの詳細は、こちらをご覧ください。
屋根貸しモデルとは
屋根貸しは、住宅の屋根スペースを太陽光発電事業者に貸し出し、その対価として賃料を受け取る仕組みです。
屋根貸しでは、太陽光パネルの所有権は事業者にあり、発電した電力も全て事業者のものとなります。住民は屋根を貸すだけで、発電した電力を使用することも、売電収入を得ることもできません。
得られるのは屋根のレンタル料のみで、その金額は設備容量や地域によって異なりますが、年間数万円程度が一般的です。契約期間は10〜20年程度となっています。
かつては売電単価が高かった時期に人気があった仕組みですが、近年は売電単価の低下により経済的メリットが薄れ、個人住宅向けのサービスは減少傾向にあります。
現在は主に集合住宅や事業用建物向けのサービスとして残っています。
3つのモデルの比較表
| 項目 | PPA | リース | 屋根貸し |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 設備の所有者 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
| 月々の支払い | 使用電力量に応じて変動 | 固定リース料金(1〜2万円程度) | なし(賃料を受け取る) |
| 発電電力の使用 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 売電収入 | 事業者のもの | 契約者のもの | 事業者のもの |
| メンテナンス | 事業者負担 | 契約による(多くは事業者負担) | 事業者負担 |
| 契約期間 | 10〜20年程度 | 10年程度 | 10〜20年程度 |
| 契約終了後 | 設備無償譲渡が多い | 設備無償譲渡 | 事業者が撤去または延長 |
| おすすめの家庭 | 電気使用量が少ない家庭 | 電気使用量が多い家庭 | 設備に関与したくない家庭 |
施主に提案する際は、現在の電気使用量や日中の在宅状況、将来の家族構成の変化なども考慮して、最適な形態をアドバイスすることが重要です。
0円ソーラーのメリット・デメリット

0円ソーラーは魅力的な仕組みですが、購入と比較した場合のメリット・デメリットを理解しておく必要があります。
0円ソーラーのメリット
0円ソーラーの最大のメリットは、初期費用なしで太陽光発電を始められることです。
住宅購入直後で貯蓄に余裕がない場合でも導入しやすく、メンテナンスも基本的に事業者が対応します。
さらに、契約終了後は設備が無償譲渡されるケースが多いため、10〜20年後には自己負担なくシステムを所有できます。
その他のメリットとしてはこのようなものがあります。
- 電気代の削減効果が得られる
- 停電時に非常用電源として活用できる(蓄電池併設の場合)
- 環境に配慮した生活を実現できる
- 自治体の補助制度と併用できる場合がある
0円ソーラーのデメリット
一方で、注意すべき点もあります。
まず、長期契約が前提となるため、途中解約には違約金が発生するため、転居や建て替えの予定がある場合は慎重に検討する必要があります。
また、0円ソーラーは購入と比較すると総支払額は高くなる傾向があります。
なぜなら、契約期間を通じて事業者の利益分を含んだ料金を支払うことになるからです。
さらに、すべての住宅が審査に通るわけではなく、屋根の形状・面積・方角、築年数などによっては対象外となるケースもあります。
その他のデメリットもしっかり認識しておきましょう。
- パネルのメーカーや容量を自由に選べない
- 契約期間中は屋根のリフォームに制約がある
- PPAの場合、売電収入を得られない
「本当にお得?」購入との比較シミュレーション
| 項目 | 購入(補助金なし) | 購入(東京都補助金あり) | リース |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 約143万円 | 約93万円 | 0円 |
| 月々の支払い | なし | なし | 約1.5万円 |
| 10年間の総支払額 | 約143万円 | 約93万円 | 約180万円 |
| 年間発電量 | 約6,515kWh | 約6,515kWh | 約6,515kWh |
| 自家消費による電気代削減(年間) | 約6.6万円 | 約6.6万円 | 約6.6万円 |
| 売電収入(年間) | 約6.6万円 | 約6.6万円 | 約6.6万円 |
| 年間メリット合計 | 約13.2万円 | 約13.2万円 | 約13.2万円 |
| 10年間のメリット合計 | 約132万円 | 約132万円 | 約132万円 |
| 10年間の実質負担額 | 約11万円 | 約▲39万円(黒字) | 約48万円 |
| 投資回収期間 | 約11年 | 約7年 | ー |
(参考:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について(2024年12月)」|https://repos.env.go.jp/web/dat/report/r03/r03_whole.pdf|住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業 | 補助金・助成金 | クール・ネット東京)
10年間の実質負担額は「総支払額 − メリット合計」で算出しています。
東京都の補助金を活用した購入の場合、10年間で約39万円のプラス収支となり、最も経済的です。
リースは初期費用0円で始められる反面、10年間の総支払額は約180万円と購入より割高になります。
ただし、10年後に設備が無償譲渡されれば、11年目以降は購入と同じ条件で経済メリットを享受できます。
まとまった資金がある場合は購入が有利ですが、住宅ローンへの影響を避けたい場合や初期費用を抑えたい場合は、リースも現実的な選択肢といえるでしょう。
全国で広がる自治体の太陽光無償設置事業

全国の自治体で0円ソーラーを支援する制度が広がっています。
ここからは、各自治体の代表的な取り組みを紹介します。
東京都の取り組み
東京都は2025年4月から新築住宅(延床面積2,000㎡未満)への太陽光設置を義務化しました。これに伴い、「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業 」を展開しています。
この事業では、0円ソーラー事業者に補助金が交付され、その分が利用者の料金軽減に反映されます。
たいy高発電を設置する場合、既存住宅の場合は3kW以下の設備で18万円/kW、新築の場合は15万円/kWの補助金を受けられます。
また、2025年度からは軽量パネルや低反射型パネルなど「機能性PV」に対して1kWあたり最大8万円の上乗せ補助も新設されています。
出典:住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業 | 補助金・助成金 | クール・ネット東京
神奈川県の取り組み
神奈川県も同様の補助制度を設けており、PPAまたはリース契約で導入する場合に事業者を通じて補助が還元されます。(出典:初期費用0円で、太陽光発電を!0円ソーラー)
相模原市など一部の市町村では独自の上乗せ補助もあり、8万円/kW(5kWまで)の支援を受けられるケースもあります。(参考:住宅用スマートエネルギー設備等導入奨励金|相模原市)
京都府の取り組み
京都府と京都市は「京都0円ソーラー」を共同運営しています。
複数の事業者のプランを一覧で比較でき、一定の要件を満たすプランでは最大10万円相当の還元が受けられます。
還元方法はプランによって異なるため、事業者へ問い合わせが必要です。
その他の自治体の動向
長野県は「つなぐ信州ゼロ円ソーラー」というポータルサイトで登録事業者を公開しています。
また、家庭向けの助成制度も設置しており、以下のような補助を受けられます。
- 太陽光発電システム+蓄電システム 20万円
- 蓄電システムのみ(太陽光発電システム設置済みの方) 15万円
- 太陽光発電システム+V2H充放電システム 25万円
- V2H充放電システムのみ(太陽光発電システム設置済みの方) 20万円
群馬県でも0円ソーラー事業者の登録制度(ぐんま住宅用太陽光発電設備等初期費用0円事業)を設けており、県民が安心して利用できる環境を整備しています。
電力販売契約(PPA)とリース契約の双方を選ぶことができ、プランから適切なものを選んで契約する形式です。
まとめ
0円ソーラーは、初期費用というハードルを取り除き、より多くの住宅に太陽光発電を普及させる有効な手段です。
PPAは電気使用量が少ない家庭に、リースは電気使用量が多い家庭に適しています。施主の状況に応じて最適な形態を提案することで、導入のメリットを最大化できます。
また、東京都や神奈川県、京都府、長野県など多くの自治体が支援制度を設けており、これらを活用すればさらに有利な条件で導入できる可能性があります。
江戸川区の「江戸川電力」のように、自治体が主導する無償設置事業も今後全国に広がることが期待されます。こうした動向を把握しておくことで、施主への提案の幅も広がるでしょう。
初期費用を抑えて太陽光発電を導入したい施主には、太陽光リースの提案が効果的です
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