太陽光発電とペロブスカイト太陽電池の違いを明確に理解できていますか?
どちらも太陽光を利用した発電方法ですが、その仕組みや普及率については大きな違いがあります。
この記事ではまず現在主流の太陽光発電(シリコン系)とペロブスカイト太陽電池の根本的な違いを整理し、ペロブスカイト太陽電池の利点、最後は太陽光発電とペロブスカイトどちらが導入におすすめかを説明します。
目次
太陽光発電とペロブスカイト太陽電池の違いとは?

太陽光発電とペロブスカイト太陽電池の違いを説明します。
まずは両者を、仕組み・素材・普及実績の3点で比較しましょう。
従来の太陽光発電は「シリコン系」が主流
現在、住宅用や産業用で普及している太陽光発電の多くは、シリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池です。
日本国内でも、主流の太陽電池の95%以上がこのシリコン系であると報告されています。(参考:次世代型太陽電池に関する国内外の動向等について)
なぜシリコン系が現在主流になっているかというと、以下3点の理由があるためです。
- 長年の実績があり、住宅屋根設置や架台設計、施工体制・保証制度が確立している。
- 耐用年数が20年以上という目安が広く使われており、コスト回収の算定もしやすい。
- 素材・製造プロセスが成熟しており、信頼性が高い。
しかし、シリコン系にはデメリットがあることも確かです。
例えば、製造時の高温処理や大量にシリコンが必要であることや高い重量や設置時の屋根・架台耐荷重の確保など、設置場所を選ぶという制約があります。
ペロブスカイトは「塗る」次世代型太陽電池
一方で、ペロブスカイト太陽電池はその名称が示すとおり、ペロブスカイト構造(ABX₃型)を有する化合物を発電層として用いた次世代技術です。
この技術が注目される背景には以下の特徴があります。
- 塗布・印刷プロセスによる製造が可能。例えば、フィルムや軽量基材上への展開も期待できる。
- 軽量・曲面・柔軟性といった、これまでの屋根に重たいパネルを載せるという設置前提を覆す可能性を秘めている。
- 弱い光・室内光でも発電可能という報告もあり、設置環境の自由度を高める可能性があります。
ただし、ここで重要なのは「塗るだけで設置完了」というわけではない、という点です。
耐久性・大型化・量産化・実用保証といったフェーズで、まだシリコン系と同じレベルではありません。
このため、将来を見据えた選択としては期待されていますが、現時点では実用化に至っていない点がデメリットとなります。
ペロブスカイト太陽電池が注目される理由

ここでは、なぜペロブスカイト技術が次世代の切り札と呼ばれているかを説明します。
軽量・曲面対応で設置場所が広がる
ペロブスカイト太陽電池は非常に軽量で、従来のシリコン型にはない柔軟性があります。
具体的にはペロブスカイト太陽電池は1平方メートルあたり数キログラム、従来のシリコン系パネルと比べると約10分の1程度に軽量化できる可能性があると言われています。
この軽量性・柔軟性によって、屋根の耐荷重が十分でない既存住宅や、ビルの壁面・窓ガラスへの設置、さらには建材一体型(BIPV)への展開という新しい可能性が広がります。
実績が豊富なシリコン系では設置が難しかった場所にも、アプローチできる点が魅力です。
設置場所の幅が広がることで、導入対象が屋根だけから壁・窓・屋上・シャッター・副用途へと拡大し、再エネ導入量拡大の鍵になると期待されています。
低コスト製造が可能に
製造プロセスの観点では、従来のシリコン系が高温処理・大型設備・ウェーハやガラス製板を用いるのに対し、ペロブスカイトは比較的低温で製造可能です。
例えば、資源エネルギー庁による報告では、量産化・習熟が進んだ場合、設備費14万円/kW程度という試算がなされています。(参考:次世代型太陽電池戦略)
従来型のシリコン型太陽電池の導入設備の平均コストは、1kWあたり25〜30万円といわれており、約半額程度に導入費用を抑えられる可能性があります。
上記試算はペロブスカイト太陽電池を応用したタンデム型太陽電池の資産であり、ペロブスカイト太陽電池のみの設備費用をさすわけではありません。
しかし、ペロブスカイト太陽電池の技術により設備費が大きく下がる可能性は示唆するデータといえるでしょう。
なお、ペロブスカイト太陽電池が安価に製造できる理由として、日本が原材料の一つである「ヨウ素」の世界第2位のシェアをもつこともあげられます。
安定した原材料を国内から供給できることで、コストを下げた製造が可能になるでしょう。
低照度でも発電効率が落ちにくい
ペロブスカイト太陽電池は、低照度でも発電効率が落ちにくい点が優れています。
一説では室内照明レベルでも発電が可能という報告も上がっており、「屋根形状や日照条件に課題がある住宅」や「壁面設置・建材一体型を検討している住宅」には、将来的に有力な選択肢となる可能性があります。
それに対して、従来のシリコン系では「影がかかる」「斜め屋根」「北面設置」などでは出力低下が懸念となるケースがあります。
これを考えると、設置環境の制約という意味ではペロブスカイトが優位に立つ可能性は十分あるでしょう。
太陽光発電とペロブスカイト、どちらを選ぶべき?

太陽電池領域に関心をもつ施主から「どちらを選ぶべきか?ペロブスカイトが実用化されるまで、待つべきか」と質問されることもあるでしょう。
ここでは「営業担当者・施主が今この段階でどちらを選択すべきか」をリアルな視点で整理します。
現時点ではシリコン系が「確実で安定」
施主がすぐにでも太陽光発電設備を導入したいなら、シリコン系の太陽電池の導入が現実的です。
従来型の太陽光発電設備は20年以上の太陽実績があり、住宅用としての普及が進んでいることから、施工や保証体制、リースやメンテナンス体制が整っています。
また、補助金やFIT制度、リースモデルなど費用を抑える(回収する)ことが可能なため、導入時の経済的なメリットについても説明しやすいです。
ペロブスカイトは「将来性重視」の選択肢
一方、ペロブスカイト太陽電池は未来の選択肢として強力な候補ですが、現時点では慎重な判断が望ましいです。
まずペロブスカイトは実用化に向けてさまざまな企業の研究が進んでいますが、実証段階に留まっています。
そのため、完璧に家庭用にカスタマイズされているわけではありません。
さらに、ペロブスカイト太陽電池にはかねてより耐久性や寿命への懸念があり、従来技術並みの耐用性への検証が十分に進んでいない点も不安要素です。
実用化が進んでいないため、補助金やリースモデルの流通、メンテナンス体制なども進んでおらず、現段階では導入しても十分な保証が受けられない可能性もあるでしょう。
結論:今はリースでシリコン系を導入し、将来の更新時にペロブスカイトを検討
ここまでをまとめると、「現段階で確実に導入効果を得たいなら、シリコン系太陽光発電が最も安定した選択」といえます。
ただし、ペロブスカイト太陽電池の技術は年々進化しており、今後5〜10年の間に量産・価格安定・耐久性の検証が大きく進む見込みです。
つまり、今はシリコン系を導入しながら次の技術に備えるという選択肢が現実的でしょう。
その中で注目されているのが、リース契約による導入です。
リースであれば、初期費用をかけずに太陽光発電を設置でき、契約期間中のメンテナンスや保証も含まれているため、運用面の不安が少ないという特徴があります。
一般的に10年前後の契約期間が設定されていますが、契約満了後は設備の再リースや買取、撤去のいずれかを選択できる仕組みになっているため、将来の技術更新を見据えた柔軟な選択が可能です。
つまり、「今は確実なシリコン系で安定稼働し、契約満了後にペロブスカイトが商用化していれば、その時点で切り替えを検討できる」という考え方です。
中途解約による違約金などのリスクを負わずに、最新技術の進化を待てる点が、リースの最大のメリットといえるでしょう。
まとめ
太陽光発電とペロブスカイト太陽電池の違いを整理すると、現時点で導入するなら信頼性・耐久性・保証体制の整ったシリコン系太陽光発電が最も現実的な選択肢です。
一方で、ペロブスカイト太陽電池は「軽く・安く・柔軟に設置できる」次世代技術として期待されており、今後の実用化が進めば住宅市場にも大きな変化をもたらすでしょう。
そのため、現段階ではリースを活用してシリコン系を導入し、契約満了時にペロブスカイトへの切り替えを視野に入れるという選択が最も現実的です。
初期費用を抑えながら、将来の技術進化に備えられるため、コストとリスクの両面でバランスが取れた選択肢といえます。
しかし、信頼できる太陽光リース会社が見つからないと悩む工務店の方も多いはずです。
建築現場博士がおすすめする太陽光発電システムは『ダブルZERO』です。
太陽光発電システムの設置と災害対策を初期費用0円でおこなえます。
ダブルZEROを提供しているSolaCoe株式会社は、新築住宅向けに4,000件の太陽光発電システムを設置した実績とノウハウを持っています。
太陽光発電システムの申請代行もおこなっており、太陽光発電システムの経験がない工務店様でも心配はありません。
またオンライン・オフライン形式での勉強会開催や提案ツールの提供をおこなっており、太陽光発電が未経験であっても安心して施主様に提案が可能です。



















