「太陽光パネルの廃棄費用って、将来どれくらいかかるんでしょうか?」
この質問を施主から受けたとき、明確に答えられる工務店はまだ多くありません。
しかし、太陽光発電の普及拡大に伴い、使用済み太陽光パネルの適切な処理は避けて通れない課題となっています。
政府は太陽光パネルの廃棄問題を重要視しており、近い将来にリサイクル義務化が法制化される見込みです。
本記事では、太陽光パネルリサイクル義務化に向けて工務店が今からできる対策と、施主への費用軽減提案について詳しく解説していきます。
目次
太陽光パネルリサイクル義務化はいつから?

太陽光パネルの大量廃棄が2030年代後半にピークを迎えると予測されており、リサイクル制度の法整備が急務とされています。
では、具体的にいつから義務化されるのでしょうか?背景と法案の動きから見ていきましょう。
義務化の背景
太陽光パネルのリサイクル義務化法案の制定が急がれている背景には、太陽光パネルの廃棄問題があります。
太陽光パネルは2012年7月よりFIT制度が開始されたことで、一気に導入数を増やしました。
FIT制度とは電力会社が一定期間、一定の価格で太陽光エネルギーで発電した電力を買い取る制度のことです。
再生可能エネルギーの導入促進に一躍を買ったこの制度ですが、これが廃棄問題の原因となっています。
太陽光パネルの耐用年数はおおよそ20〜30年程度と言われており、2030年ごろ〜2040年にかけて、太陽光パネルの廃棄が増えると予測されているためです。
この量およそ年間50万tにも及ぶといわれています。
現状太陽光パネルの廃棄は埋め立て以外の方法がなく、処分場所も限られることから、リサイクルの必要性が叫ばれています。
リサイクル義務化法案の施行時期は2026〜2027年と予測
太陽光パネルのリサイクル義務化法案については、2025年5月に環境省が法案提出を見送りしているため、現状では施行されていません。
しかし、正式な施行時期は2026〜2027年以降を見込んでいるとされているため、近々太陽光パネルのリサイクルが正式に義務化されると予想されています。
太陽光パネルリサイクル義務化法案とは?
太陽光パネルリサイクル義務化法案についても、概要を理解しておきましょう。
この法案は環境省の資源循環小委員会がまとめた「太陽光発電設備のリサイクル設備のあり方について」という報告書をベースとして作成されています。
内容としては現行法では太陽光パネルのリサイクルは義務化されていないが、廃棄についての懸念があることからリサイクルが必要という内容などがまとめられています。
その他、リサイクルの費用の確保や事業の集約などについてがまとめられた書類です。
これをベースに作られた太陽光パネルリサイクル義務化法案は現場「他のリサイクル制度との費用負担の考えに齟齬がある」として調整中ですが、近日中に法案が提出される見込みとなっています。
太陽光パネルの廃棄コスト

現時点で太陽光パネルの廃棄はどのように行われ、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
ここでは、現状の廃棄方法と費用の目安を確認します。
現状は埋め立てでの廃棄が主流
現在、日本における太陽光パネル廃棄の多くは、リサイクルされずに産業廃棄物として埋め立て処分されています。
しかし、埋立地にも限りがあるため、埋め立てのみで今後増えてくる太陽光パネルを処理する方法は現実的ではありません。
さらに、太陽光パネルはガラス・シリコン・金属など再資源化可能な部材を多く含んでおり、それを再利用すれば有用な物質を抽出できます。
費用は1枚あたり2,000〜5,000円程度
太陽光パネルの廃棄費用は一般的に1枚あたり2,000〜5,000円程度で、パネルのサイズや数量によっても変動します。
大量に処分する場合は、トラック輸送や撤去工事など別途費用がかかる場合もあります。
リサイクル希望の場合は業者への依頼が必要
現場太陽光パネルのリサイクルを希望する場合は、専門業者への依頼が必要です。
リサイクル費用は業者によって設定が異なりますが、1枚あたり2,000〜4,000円程度が目安となっています。
しかし「太陽光パネル自体が高額なため施主としてもリサイクル費用は抑えたい」というのが本音ではないでしょうか。
政府がリサイクルの費用についての調整を実施するとは言われていますが、どのような方向性になるか工務店側でも注視しておくべきでしょう。
太陽光パネルリサイクル義務化に向けてできること

太陽光パネルリサイクル法案はまだ提出されていない状態ですが、近年中に可決される見込みです。
なぜなら、政府も太陽光パネルの廃棄問題は早急に対処すべきと考えているためです。
その前に工務店側でも、太陽光パネルのリサイクル義務化を踏まえて、施主にどのような費用軽減の提案ができるかを考えておきましょう。
政府の動きを注視しておく
まず重要なポイントは、工務店側でも太陽光パネルリサイクルに関してのアンテナを貼り、政府の動向を注視しておくことです。
法制化のタイミングや具体的な義務内容を早期に把握することで、必要な準備期間を確保できます。
環境省や経済産業省の発表する政策動向や法案の詳細について、定期的な情報収集を行いましょう。
業界団体や関連協会からの情報も貴重な情報源となるため、積極的に参加することで最新の情報が得られるはずです。
信頼できるリサイクル業者を選定しておく
信頼できるリサイクル業者を選定しておくことで、法制化後の円滑な業務運営が可能になります。
複数の業者と事前に関係を構築しておくことで、処理量の変動やトラブル時のリスク分散も図れます。
特に適切な許可を取得している業者であるかの確認は、法的リスクを避けるために必須の条件です。
業者の財務状況や事業継続性についても調査し、長期的な取引関係を維持できる相手を選びましょう。
太陽光パネルのリサイクル費用を抑えたいならリースも検討

太陽光パネルのリサイクル費用を抑えたいなら太陽光リースも選択肢の1つです。
リース契約では、設備の所有権がリース会社にあるため、廃棄責任もリース会社が負担するケースが一般的です。
施主にとっては、初期費用の軽減と将来の廃棄コスト負担回避という二重のメリットがあるため、リサイクル費用の負担もありません。
ただし、リース契約の条件や廃棄責任の所在はリース会社によって取り決めが違う場合があります。
事前によく確認したうえで、リサイクルの面でも施主に負担の少ないリース業者を選定すると良いでしょう。
まとめ
太陽光パネルのリサイクル義務化は2026〜2027年に施行される可能性が高く、工務店としても見逃せない問題です。
リサイクル問題で太陽光パネルの導入をためらう施主が増える可能性もありますが、ここで適切なリサイクル業者の紹介ができるよう準備を整えておけば、他社に優位性を獲得できる可能性があります。
また、施主の負担を軽減するという観点では太陽光リースもおすすめです。
太陽光リースなら廃棄やリサイクルの責任はリース会社にあるケースが一般的であるため、施主にリサイクルの手間や負担がありません。
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